ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹 西尾維新

ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹 (講談社ノベルス)

ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹 (講談社ノベルス)


きっかけ
最近本屋でも作品をたくさん見かけていて、ようやく100円で売っているものを発見したので買った。確かミクシィなんか見ていると、京極夏彦を好きな人がけっこう読んでいる率が高い。メフィスト賞もとっていたような気がする。


ネタバレ・あらすじ
主人公は、戯言使いで「いっきー」「いーくん」などいろいろな呼ばれ方をしている。高都大学生物学部の助教授、木賀峰約から死なない研究のモニターのバイトをお願いされる。研究所として使っている山奥の西東診療所には、死なない研究の本体の800年間生きているが、記憶は60年くらいしかない円朽葉という見た目は17歳の少女がいる。主人公を朽葉に会わせることによって、実験の進展にむけての何かのきっかけとして利用するつもりらしい。このバイトに主人公は、同じアパートの住人のジグザグ遣い(殺人術)の紫木一姫も連れて行くことにした。さらに同じくモニターとして、二重人格の殺し屋、殺戮奇術集団の匂宮理澄もいた。理澄は名探偵で情報収集担当で、出澄は匂宮の殺人担当の人格で、狐面の西東診療所の前の持ち主の西東天より、死なない研究を終わらせるために、木賀峰と朽葉の殺人を依頼されている。


適正試験を3人が受けた次の日、診療所にいた5人(木賀峰、朽葉、一姫、理澄、主人公)のうち、主人公を除く4人が死んでいた。しかも、体が千切れたりしていて、どんな殺され方をしたのか分からなかった。当然、自殺に見える死体は1つもなかった。バイクや車のタイヤはパンクさせられていて、部外者が殺人を犯して逃げた可能性もない。死体や事件の隠蔽工作は主人公の友人の玖渚友に依頼した。


主人公は自分の悲しみと一姫への想いをちゃんと終わらせるために、隠蔽工作の終わった西東診療所に再び来て、事件の真相を探る。そこで再会した西東天の話から、二重人格の匂宮兄妹は本当はちゃんと2人いたことを確信する。5人中4人が死んだわけではなく、6人中4人が死に、主人公を除いた出澄が犯人だと分かる。殺人術により、体が引き千切られていたりしたのだ。


一姫の敵討ちのために、すべての請負人哀川潤を餌に呼び出して、主人公は出澄と戦う。銃もナイフも防がれ、出澄は長い腕から出す人喰い攻撃と殺人術で主人公をボロボロにする。あばらも何本も折られて全然歯がたたなかったが、やれることはやった気分になり、主人公は自分の気持ちにけりがついたので、哀川の居場所を教える。そして、主人公は全治2ヶ月で入院する。


感想・レビュー
どうやらシリーズもののようで、一応1つの事件だから1冊だけでも読めるけど、1巻目から読んだ方が、登場人物たちの関係が分かっておもしろいと思う。ミステリーの枠だとは思うが、直接的な戦闘シーンもかなりあるので、なんだかライトのベル的な印象を受ける。事件としての殺人が起きるのも、半分以上過ぎてからだったことからもミステリーとして弱いのかなと。


運命論についての話はおもしろい。もしも、今出会わなくても、未来的にきっとどこかで出会っていたはず。神様がいるかどうか分からないが、世界には物語性がある。物語として、流れや結果が大きく変わることはない。


あとはでてくるキャラが全て変人的で、あまりに現実味がない。萌えキャラばかりという感じがする。特に女の子が多い部分も含めて。