天帝妖狐 乙一

天帝妖狐 (集英社文庫)

天帝妖狐 (集英社文庫)


きっかけ
どうにも妖怪の名前が入っていると読みたくなる傾向にあります。しかも、鬼太郎でも比較的有名な妖怪の狐系だなんて。


ネタバレ・あらすじ
A MASKED BALL 主人公は学校のトイレの落書きで見知らぬ誰かたちと会話をしている。そこにはいつもカタカナの真面目な書き込みがあった。ゴミの空き缶が増えたことにより自動販売機を壊したり、駐車マナーの悪い教師の車を壊したりする。続けて、学校ではいい子だが、校外でたばこを吸ったりしている不良の女の子に罰をくだすというような落書きがされた。主人公はその子を守るために作戦を練り、罠をはるが逆にはめられてしまう。犯人が本当に裁きをくだしたかったのは、いつもトイレでたばこを吸っている主人公だったのだ。そして、犯人の掃除のおばさんに襲われるが友人や先生のおかげでなんとか助かる。犯人は逃げ延び、主人公の卒業式がやってきて、最後にトイレに「ラクガキハヤメマショウ」と落書きがされて終わる。


天帝妖狐  ある日、夜木という少年が狐狗狸さんを1人でやってみた。そうすると不思議な存在を感じた。その存在は早苗と名乗り、未来をどんどん予言していく。その予言はすべてあたり、夜木の友人が死ぬという予言まで当てる。そして、4年後に夜木が死ぬことを予言したがそれを避ける方法を教えてくれない。泣いて懇願すると、「私の子供になるなら永遠の体をあたえよう」というのでそれを受け入れる。それ以来、夜木の体は怪我をしてもすぐに痛みもなくなるが、その部分を早苗にとられてしまい、代わりに獣のような禍々しい体に変わっていく。怪我をするたびに体がどんどん獣に近づいていくので、その部分を包帯で隠していたが、限界を感じ家を飛び出して、山や街を徘徊していた。その間にも怪我をして体は変化していくが、寒さで死ぬこともなく、飢えで死ぬこともなかった。
あるとき、寂しさから街に入り、気力もつきかけていたところを杏子という女の子に発見され介抱される。それから杏子の家で世話になる。ある時、その街の実力者の息子に目をつけられ、包帯の下の素顔を見られそうになるが、それに対して自分のものではないような怒りが湧き起こり、その息子たちに攻撃を加えると喜びや快感で我を忘れてしまった。しかし、数日後にそいつらの報復で車で轢かれ、死んだと思い埋められてしまった。しかし、それでも夜木は死ぬことはなく、体のほとんどが獣に変わってしまった状態で生きていた。怒りにかられ復讐に、そいつらの前歯を抜いたり指の骨をつぶしたりするが、最後の人間らしさでなんとか殺さずに立ち去る。最後の杏子にお礼の手紙を書き、またどこへともなく去っていった。


感想・レビュー
あんまり妖狐と関係ないような気もした。狐狗狸さんということで、基本的に狐が代表になるのでいいのかなとも思う。早苗が天帝妖狐なのかなぁ。


話としては、天帝妖狐の方が好きです。でも、ちらもよくできていると思う。落書きで会話というのも、最近ではあまり考えられなくなったが、素敵な発想だと思う。